毎月ブログ(2012年)

2012年12月

コネチカット州ニュータウンの学校で、子供が20人殺された最近のニュースを知らない人はいないだろう。皆が新しい銃規制法を叫んでいる。しかし、すべて銃の販売をストップしても、アメリカには既に3億丁の銃が存在する。
妻と私は、この問題の別の解決法を話し合った。彼女は、こう言った。
「ニュータウンの人々は、ニュータウンから銃をなくし、他の人たちに『銃のないニュータウンへ引っ越していらっしゃい』と招いたらどうか。それで引っ越してくる人がいるか試してみたら」
何かを変えようとするなら、大勢の人がおそらく反対するであろう新しい法律を作るより、この方がずっと実際的な方法だと思うが。銃を持つ自由がありながら、誰も銃を所有することを選ばないのが理想だと思う。
このような射殺事件の舞台は、なぜ決まって学校なのだろうか。このような事件の犯人たちは、体にコンピューターチップを埋め込まれ、そのプログラム通りに行動していると言う人もいる。技術的には可能なのだ。殺人犯たちは、大抵うつ病の薬など向精神薬を飲んでいて、精神科医の世話になっている。そして、それがまるで彼らの運命でもあるかのように、皆殺しの後、自らの命を絶つ。だから、そのような事件を引き起こすに至るまで彼らに何がなされたのか、誰も知ることができない。それに誰もチップを探さない。
妻は、日本の原発の問題の解決法についても提案する。
「TEPCOのお偉いさんや原発推進派の政治家は、自分の親友と家族全員をつれて、発電所の隣に住むことができたら、原発存続の旗振りをする権利を得るってことにしたら?」
皆さん、よいお年を!

2012年11月

皆さんがこれを読む頃には、選挙も終わり、アメリカは当然の報いを受ける。選挙戦は、初めから嘘つきとトンマの戦いだった。二人の意見が異なるのは、妊娠中絶と同性結婚についてだけなのだ。勝つのはおそらくオバマ。だって、自滅寸前の世の中にもっと赤ちゃんを!なんて人いるのだろうか?私は日本に住んでいてよかった。選挙で政治家を選ぶ、となると、日本も米国と大して変わらないが、日本では私には選挙権がないからね。
先月、妻と私はゴッホの『アイリス』の1000ピースのジグゾーパズルをやった。嘘つきとトンマばっかりのテレビを見なくて済んだ。素晴らしい絵画のジグゾーを半年くらい探した。デパートや美術館などに行ってみた。美術展を七つくらい見たあと、やっと横浜の美術館で、在庫の最後のジグゾーを見つけた。もう作っていないのだそうだ。みんな、ジグゾーよりスマートフォンでビデオゲームの方がいいってことなのかね。
完成したパズルの写真を撮った。

2012年10月

今月は、主に絵を描いたり、次のデジタル絵本の製作をした。次作のテーマは「いじめ」だ。
土曜日にみなとみらい地区へ散歩に出掛けた。長い暑い夏がやっと終わったと思ったら、こんな花がまだ咲いていた。海のダイバーたちは、清掃活動をしていたのだと思う。

2012年9月

70歳になり、高齢者市民用特別バス・地下鉄乗車証を手に入れたところだ。「年寄り」も本当に板に付いてきた。ガーデニングも始めた。
作曲も録音もたくさんやっている。今、デジタル絵本の新作を作っている。この新作は最近また大きな問題になっているテーマを扱っていて、タイトルは『いじめっ子』だ。
今夜はジョン・コルトレーンを聴いて、彼の誕生日も祝おう。

2012年8月

先月、河口湖畔に滞在し、富士山周辺の自然や景色を楽しんだ。
富士山の雪解け水のビデオ(ジャズ日本旅のセクションにあります)を作ったのでどうぞご覧ください。涼しくなるよ。
今まで演奏しなかったスタンダードを吹きたくて、ビリー・ホリデー、サラ・ヴォーン、エラ・フィツジェラルド、チェット・ベイカーを聴いている。昔のうたの歌詞はとても知的で、意味も深い。コードもメロディもとても美しい。現代人の頭脳はどうしたんだろう。勉強のしすぎで、人生経験が足りないのだろうか。私たちがバカになるにつれ、スマートフォンが賢くなる。ソーシャルネットワークにより、みんながお互いの頭の中の取るに足らない考えを共有できるようになった。テキストメッセージの返事は瞬時に送られてくるが、電子メールを送っても無視される。会話は時代遅れ。まるで誰もが巨大なコンピューターに接続されたみたいで、落ち着いて自分とゆっくり対話できる人がほとんどいないようだ。
若い時、年寄りは、モダンに変わりゆく世の中が理解できないことに気付いた。テープレコーダーを操作しようとした私の父の頭脳は停止した。私はそんなことにはならんぞ、と自分に言い聞かせたが、年を取るにつれ同じことが起こった。皆さん、どうすればスマートフォンの中で一日中お過ごしになれるんでしょうか。外を歩くときも耳にはイヤホン(おそらくラップかマドンナ?)。まわりの美しい環境を体験することもなく。今の世の中、属することは自分らしさを諦めること。だから、誰も素晴らしい歌を書く人がいないのだ。

2012年7月

ある韓国人写真家による第二次世界大戦時のいわゆる「従軍慰安婦」がテーマの写真展を見に、久しぶりに東京へ行った。会場はニコンサロンで、手荷物検査や金属探知機を含む、ものものしい警備態勢だった。
写真展からSANKYOフルートの修理工房へと、明治通りを歩いた。新宿のジャズCD店に入ったとたん、聞き覚えのある音が耳に入った。私のフルートだ。店の女性スタッフがフルートを吹く人で、私に気づいて私のCDをかけたのだ。彼女は私たちのデジタル絵本もとても気に入っていると話してくれた。嬉しいサプライズだね!

日本の古い伝統的喜劇である狂言を観た。美しく誇張された形でセリフを発する。歌舞伎にちょっと似ている。ものすごく初期のラップ、という感じだ。マイクもアンプも使わないが、声がオペラ歌手のように観客へ届いた。身体の動きも極端に様式化されていて、とても面白かった。

2012年6月

6月はビデオブログ。

2012年5月

普段は何でも橫浜でするのが好きなのだが、先月、訳あって東京へ2回出かけた。理由の一つは、『誰も知らない基地のこと』(原題: STANDING ARMY)という映画だった。これはオススメだ。これは、世界中に700以上もある米軍基地についての映画だ。米国の醜さが描かれており、今住んでいる日本でこの映画を見てよかった。日本へ来てから、沖縄の状況についていろいろ読んでいる。地元の人々は米軍に出て行って欲しいのだが、政府は第二次大戦直後の取り決めに従い続けている。今、ドラム缶から漏れ出た枯葉剤による沖縄の汚染についても報道されつつつある。戦闘機の騒音のおかげで、基地のすぐそばに住む人々は惨めな思いをしている。地元の人々は、すべての良い土地から追い出され、戻ることができない。沖縄は40年前に日本に返還されたはずだが。
戦争が起こると、その国には、戦争が終わったあとも永久的に米軍基地が残される。これら700以上の基地の年間運営費は約1兆ドルだ。米国が破産するのも無理はない。映画では、第二次大戦が終わって70年経った今、イタリアで新しい基地の建設が進んでいることも紹介されている。地元の人々は反対したが、中央政府はオーケーを出した。政府はいつもああだ。
最悪の事態は、ディエゴ・ガルシア島だ。インド洋の真ん中にあるこの島は、将来の軍事行動に理想的な場所で、住人全員が基地によって追い出された。
東京へ出かけたもう一つの理由も、同じく強烈だったが、今度は「良い意味で」そうだった。ジャクソン・ポロック展を見たのだ。あとで家に帰って絵の具を紙に投げつけたかったが、家の中がメチャクチャになってしまうので、その考えは諦めた。とても面白い作品が展示されていて、彼が描いているところの映画も上映された。その中で、彼は絵の具を着地させたい場所を指さしているように見えた。線にそれ自体の心があった。ちょっと私がピアノを弾くときに似ていた。
次は、マックス・エルンスト展へ行く。ゴールデンウィークの混雑が収まったらね。この展示は、運良く橫浜で開催されている。

2012年4月

近所にある桜は、毎春、橫浜を訪れる多くの人々の目を楽しませている。今年は、いつもより開花が遅かったが、今日4月10日、満開だ。

2012年3月

春が来た。うちのアボカドの種から根が生えてきた。関内のエアジンで、市川秀男カルテットの演奏を聴いた。とてもよかった。
地震、津波、メルトダウンから1年。日本は原子力がなくても大丈夫なようだ。原子力を維持したいのは、TEPCOと政治家たちだけだ。
『ヤング・ギター』誌から、トミー・ボーリンの特集ムック本が出た。トミーは、以前、私のグループに参加した凄腕のロックギタリストだ。同誌編集長の西村氏は、とてもいい仕事をしている。私のインタビューも載っているので、読んでみて!

2012年2月

1月の下旬に神戸へ旅した。ホテルへ着くと、部屋の鍵が時計と反対回しだった。エスカレーターのファストレーンも左側だ。神戸には左利きの人が多いのだろうか、と思った。
すばらしい博物館を二つ見た。酒博物館では、醸造したばかりの美味しい酒を味見した。そのあと行ったランプ博物館では、日本におけるランプの歴史がすべて紹介されている。(写真下。)とても美しかった。
ホテル、レストラン、エレベーターでは、ミューザック(Muzak)の代わりにジャズが流れている。でも、バラードばかりだ。神戸はとてものんびりした、静かな場所だった。もちろん、神戸牛ステーキも食べた。
イタリアの豪華客船コスタ・コンコーディアがひっくり返って沈んだ、と聞いても驚かなかった。以前、ニューヨークのハドソン河であの手の船を見たものだ。船の上に大きなビルを乗せているようなものだから、バランスが良いはずがない。海で実際に沈んで犠牲者が出ないと、誰も何もしない。ところで、あの船に展示されていた写楽のオリジナルが一枚、まだ見つかっていない、と読んだ。もともと作品数の少ない人なのに。

2012年1月

2012年になった。マヤ暦の最後の年!?天国と地獄を信じる人は、今年は特別いい子にしなくちゃね。私は、本当にこれが世界の終わりなら、と、クリエイティブな仕事をできるだけたくさんやろうと思う。
数多く創造的な作品をつくる、と言えば、先日、東京で国芳のショーを見た。彼は素晴らしい浮世絵師で、展示を見てすごくやる気になった。彼の妖怪や動物の絵はすごくいい。私も家に帰って絵を描き始めた。
橫浜で行われた脱原発世界会議にも行った。何千人もの人が参加していた。講演はとても面白く、スピーカーの中にはとても感情のこもった話をする人もいた。もし政治家たちが大部分の日本人の声に耳を傾ければ、原子力発電所はすべて閉鎖されるだろう。
今月は、DVDで『渚にて』も見た。フレッド・アステアが出演しているが、この映画では踊っていない。世界中の人がみんな死んでしまう、というのが結末だが、そこで教会の人たちが残した「君たち、まだ時間はある」というサインが映し出される。この映画は1959年に作られたのだから、2012年の今、もうそのときが本当に迫っている、ということだね。